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専門学校の「今」に鋭く迫る辛口コラム
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2000年6月号

調査 今春の専門学校新設は43校113学科
  〜医療が大幅増加。介護・社会福祉にブレーキ〜
 今春新設された専門学校は、全国で43校、延べ学科は113学科にのぼることが、本誌の調査で明らかになった。4月号から各都道府県アンケートの到着分を順次紹介してきたが、このほど全国47都道府県の調査がまとまったので一括して紹介する。バブル崩壊後も続いた全国的な専門学校の新設ラッシュは、昨年度に引き続いて今年度もやや落ち着いた状況が見られる。

▼東京が再び10校と二桁台の新設

 この調査は全国の都道府県の協力を得て小社が毎年行っているもので、今年4月に専門学校の新設認可を受けたのは、表1のように21都道府県に上っている。

 過去5年間の新設校の推移を見てみると、平成8年度71校→9年度75校→10年度71校であったが、11年度は44校となり、今年度も43校となって、2年連続して40校台に留まっている。

 しかし、東京10校、新潟、大阪4校、埼玉、神奈川、広島各3校と相変わらず新設校の多い県がある反面、毎年何校かの新設が必ずあった千葉、愛知などでは今年度の新設校はない。また、過去3年連続して新設のない県は、山形、滋賀、鳥取、沖縄の4県で、京都、茨城などの8府県では2年連続して新設の専門学校はなかった。

 これを分野別に見てみると、医療17校46学科と衛生14校22学科学校数・学科数とともに圧倒的に多く、ついで、文化・教養7校29学科。商業実務・外国語4校8学科、工業3校4学科、教育・社会福祉2校4学科となり、合計では43校113学科となっている。なお、農業と服飾・家政は今年度も新設の専門学校はなかった。

 医療と衛生の新設ラッシュはここ数年連続した傾向であるが、他の分野のやや落ち着いた傾向都とは際立った違いがあり注目される。

 さらに、単独の学科で詳しく見てみると、美容15、理学療法11、東洋医学(鍼灸、柔整)8、作業療法7、看護5などとなっており、美容とリハビリの新設が目立っている。

▼理容美容学科の新設ラッシュ続く

 平成10年に法律が改正されて、2年制となった理容美容学科は、一昨年度から新設ラッシュが続いている。

 10年度13校、11年度8校に続いて、今年度はさらに理容美容あわせて18学科が新設された。これ以上は増え過ぎか、というのが率直な感想だ。確かに、インターン制度もなくなり、テレビでもヘアショーなど華やかな番組が頻繁に放映され、以前ほどのようなキツくて厳しく、暗いイメージから、明るく華やかなイメージが先行するようになってきたことは事実であるが、イメージ先行の感は免れない。

 一昨年度からのこの理容美容学科の新設ラッシュは、法律改定以外にもこういう時代のトレンドとも関係していると思われるが、いまのところは、2年制移行の影響が強く、普遍の傾向とは言い難い面もある。

▼介護・福祉はやや一服。リハビリは一転して復活ムード

 行政サイドから次々と福祉対策が打ち出され、それに伴って勢いよく増え続けていた介護・社会福祉系学科は、10年度の27学科が昨年度は14学科に激減し、さらに今年度は4学科(2校)の新設にとどまり注目される。これはいくつかの要因が考えられるが、一つは、かけ声のわりには福祉の現場の環境整備が未だ十分でないことを反映していたものであろう。また、二つ目は、この分野に大学や短期大学が本格的に参入していることである。

 本誌が再三にわたって指摘しているように、専門学校はその独自性を十分に発揮した教育を展開できなければ、大学や短期大学との正面での競争には勝ち目がない、という冷酷な事実に、これらの分野の専門学校は今直面していると言えそうだ。

 一方、理学療法、作業療法のリハビリに復活ムードが復活ムードが見られるようになった。昨年度の2校4学科から今年度は一挙に8校18学科で4倍増の勢いである。この分野は、文部省の50分類では「医療」の「その他」に分類されているので、実際の学校数、学生数の推移は学校基本調査からは伺い知れないというもどかしさがある。

 かなり以前に第一次ブームとも呼ぶべき時期があり、高校生、特に女子に人気があった。以降、毎年数校の新設はあったものの、これほどの新設は近年では見られなかった。リハビリ技術者の質の向上を目指した4年制への以降の動きが、この新設ラッシュに拍車をかけていると言えそうだ。

▼新しい学科にも注目

 美容のトータルビューティ科や園芸セラピー科など、既存の学科の垣根を越えた学科や従来専門学校にはなかった新しい分野の学科が誕生し注目される。

 上記2学科の他に、比較的目新しい学科をあげてみると、グリーン・フラワー・ガーデニング科、ライフセレモニー科、アニマルセラピー・コーディネーター科、海洋生物・ネイチャーアクアリウム学科など、専門学校お得意のカタカナ学科の誕生である。カタカナがいけないとは言わないが、なんとなく内容が分かるようで分からないもどかしさをこれらの学科には感じる。名実とみに、これらの学科が新しい分野を切り開く学科であることを期待したい。

 また、環境ビジネス単科の専門学校が長野に誕生した。ここ数年人気の動物・アニマル系学科と並んで、自然や環境をテーマにしたこれらの学科の誕生は、これからの専門学校の一つの方向を示唆しているものとして注目される。

▼学科の認可基準が都道府県で混乱?

 かつて、バイオ系学科が都道府県によっては、「工業」、「農業」、「医療」、はては、どこにも属さないと言う理由で「文化」に認定され混乱を招いた。

 同様のことが今年度の新設でも見られた。経営情報文化学科、商業・経済文化学科は内容の吟味より先に、「文化」という言葉に引かれて「文化」で認可。園芸セラピーの「文化」も分からないし、グリーン・フラワー・ガーデニング科の「商業」も、「農業」の園芸との関係は、と疑問になる。動物関係学科の「文化」もよく分からない。

 学科の認可の基準・指針の早急な整備が望まれる。(鎌田)


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