調査 |
2000年度 首都圏の専門学校の学科総数は1172学科に |
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首都圏の国公私立670専門学校では、今年度、新設203学科、廃止172学科で、総数は1,172学科であることが判明した。これは本誌の7月拡大号として刊行された「国公私立
首都圏の専門学校全調査」のアンケート調査で明らかになったもの。
同誌は、昭和58年から年度版で刊行されているもので、首都圏の専門学校のアンケート協力により、1校・1学科も漏らさず掲載している唯一の資料として、専門学校をはじめ関係方面から高い評価を得ている媒体。
▼例年以上の大幅な学科の改廃
今年度も学科の改廃は非常に多い年であった。専門学校の学科の改廃は、原則として官庁の許可が不要で学則の変更届だけでできる。また、専門学校は職業教育がその使命であるという性格上、つねに社会の変化を的確に把握して、それに沿った形での学科編成が求められている、などの理由で学科の改廃は非常にしばしば行われるのがふつうである。
今年度の新設学科は8分野すべてにわたって行われ、実に203学科にのぼっている。また、廃止された学科も172学科にのぼる。これは、前年の学科総数の約16%が変更になったことになる。
以下、分野別にその特徴を見てみよう。
【工業】学科総数は222学科。新設は47学科、廃止は61学科で、4つに1つの割合で今年度は学科が変更された。
建築・製図、土木・測量系は前号で紹介したように、長引く不況の影響をもろに受けて学生数を大幅に減らしている。その結果、学科の統廃合も進み、新設より廃止の学科が多くなっている。
また、コンピューター、マルチメディア・放送系は例年と同様に今年度も改廃が激しく、両系で新設27、廃止29となっている。
【農業】学科総数は15学科と少ない。その割りには、新設は7学科と多い。廃止も1学科あった。
なかでも、動物(ペット)、園芸関連の学科の新しい分野の学科新設が目立つ。
【医療】学科総数は94学科。新設は12学科、廃止は6学科で、他分野と比較してやや落ち着いている。
ただし、ホスピスケア科、感染管理科など、従来とは全く異なる分野の学科が誕生したことは注目される。
【衛生】学科総数は62学科。新設は10学科に対して廃止はわずか1学科に留まっている。学科の改廃に分野全体の勢いが感じられる。
【教育・社会福祉】学科総数は72学科。新設は6学科、廃止は9学科で、医療と同様に比較的落ち着いている。
【商業実務・外国語】学科総数は専門学校ではトップの328学科となっている。今年度の新設は58学科、廃止は54学科で例年同様に多くの学科が改廃されている。
ビジネス関連の学科は新設が多い一方で、語学関連の学科は廃止されたのもが多い。前号で紹介したように、この分野は長期低落傾向にある。例年の激しい学科の改廃は、この局面を打開しようとする試みに他ならないが、新設学科の名称を見るかぎりでは、新鮮さが感じられず、この分野の悩みは深刻である。
【服飾・家政】学科総数は114学科。新設は10学科、廃止は14学科で、学科数の割りには、学科の改廃が少ない。
【文化・教養】学科総数は265学科。新設は53学科、廃止は26学科で、新設の多さが目立つが、子細に見ると単なる名称変更の域を出ていないのが気になる。
▼社会のニーズに即応した学科新設を
専門学校の学科の改廃がしばしば行われるのは、先にも指摘したように、学科の改廃が法律上は届け出だけでよいという容易さが一つにはある。また、専門学校は職業教育を使命とするがゆえに、常に社会の変化を的確に把握してそれに即応する必要がある、という要因も一方にはある。つまり、入口での高校生のニーズ(願望)と出口での社会の要請などとの相関関係の上に専門学校の学科は成り立っているといっても過言ではない。
しかし、教える側の必要性が先行しがちなこと、また、奇を衒った学科名の新設、特にカタカナ学科に多い、など専門学校の学科の改廃には問題点も少なくない。
専門学校の学科の改廃は、その性格上避けてはいられない。しかし、その際、社会のニーズを無視して行ってはならなず、学科名を目新しく変えること、それのみを目的とするような学科の改廃は厳に慎むべきことである。(鎌田)
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