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専門学校の「今」に鋭く迫る辛口コラム
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2000年9月号

調査 高等学校卒業生の就職率急減
 〜受け皿として魅力ある専門学校の学科編成を〜
 昭和55年(1980年)42.9%(28.0%)
 昭和60年(1985年)41.1%(27.2%)
 平成 2年(1990年)35.2%(21.9%)
 平成 7年(1995年)25.6%(12.8%)
 平成12年(2000年)18.6%( 7.7%)

 この数字は高等学校卒業生の全国(東京)の就職率の推移である。(平成12年度のみ速報値。他は確定値)
 上の数字でわかるように、昭和年代では、就職率が比較的穏やかな下降傾向を示していたが、平成になってからは急激な下降となっている。ちなみに平成11年度は全国20.2%、東京9.1%であったので、この1年間だけでも全国では1.6ポイント、東京では1.4ポイント就職率が下がったことになる。

 この就職率急減にはいくつかの要因があろう。長引く経済不況、フリーター指向など高校生の就職に対する意識の変化がまず最初にあげられる。また、もう一つ見逃せないのは、高校生のマジョリティ指向ではなかろうか。

 みんながもっているからポケベル、ピッチ。同じように、みんなが就職するから(かつては)就職があたりまえ。このマジョリティ指向は高校生だけではなく、もしかしたら日本人全員にあてはまることかもしれない。

 その延長として、みんなが行くから大学・短期大学・専門学校へ、となっても何ら不思議はない。近年の進学率の推移を見ているとそんな感じがしないでもない。

 問題はここからである。高校生の就職率の減少が直接に高等教育の進学率の増加に結び付くかどうかである。結び付けられるかどうかといってもよい。

 ここ数年は、毎年18歳人口が5万人〜7万人の割合で減少している。このかぎりでは、進学者数減となるのは当然のことである。しかし、就職率の減少分を進学予備群の増加と考えれば、少なくとも4万人〜5万人は上記の数字から差し引くことができる。つまり、毎年5万人〜7万人の減少が、実質的には毎年1万人〜2万人の減少にすぎないことがわかる。

 18歳人口急減を嘆き、自校への入学者減をその責にすることはたやすい。しかし、上記のように大騒ぎするほど進学予備群は減ってはいない。

 もし、18歳人口の減少がすべての原因であるとすれば、学生数を増やしている学校、学科があまたあることをどう説明すればよいのか。高校生の意識の変化、社会の変化は想像以上に急激に進んでいる。その変化に、わが国の多くの高等教育機関が対応しきれていないということであり、戦後半世紀にわたる教育の制度疲労といってもよい。

 今話題のフリーターも、各種の調査を見ればわかるように、決して好んでやっているのではない。魅力のある他の選択肢が用意されていないことが最大の原因であるといわれる。もちろん、高校生の自覚、それを養育し、醸成させる高等学校を含めた、初等・中等教育そのものにも問題はあろうし、高校生本人にも問題はあろう。

 しかし、「やりたいことがないんだもの」「行きたい学校ががないんだもの」という高校生の悲痛な叫び、そして諦観に、私たちはどう答えるべきであろうか。時間はそんなにない。



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