コラム |
首都圏の専門学校の学科、前年比で約16%の改廃 |
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首都圏の専門学校の学科総数は1,171
学校数680、新設187学科、廃止178学科で、前年の約16%の学科が改廃された
首都圏の国公私立専門学校は、募集停止、休校などを除くと680校となる。また、今年度、学科総数は1,171学科で、その内、新設は187学科、廃止は178学科であることが判明した。これは本誌の7月拡大号として刊行された「
国公私立 首都圏の専門学校全調査」のアンケート調査で明らかになったもの。
同誌は、昭和58年から年度版で刊行されているもので、首都圏の専門学校のアンケート協力により、1校・1学科も漏らさず掲載している唯一の資料として、専門学校をはじめ関係方面から高い評価を得ている媒体。
▼1校当たり1.72学科を設置
本誌では専門学校のすべての学科に8桁のコードをつけている。上4桁がいわゆる「学科コード」で、下4桁は「性格付けコード」と名付けられているもので、修業年限、入学資格、男女、昼夜の別がわかるようになっている。(下欄参照)
検索機能を完全にするために、例えば、看護科と看護婦科、コンピューター科とコンピュータ科のように、教育内容は実質的には同じと思われるものでも別の学科として一つのコードが与えられている。
本誌のコードが上記のような性格・内容のものである関係上、学科の総数は実際よりも数が多くなる傾向にある。それを踏まえて今回の調査結果を見ると、学科総数は1,171学科で、昨年度の1,172学科と1学科しか違わない。
また、首都圏には休校・募集停止中の学校を除けば680の専門学校があるので、学科総数を単純に1校当たりで割ると1.72学科の設置ということになる。昨年度は1.75であったので、わずかの減少となった。
▼昨年度並みに大幅な学科の改廃
今年度も学科の改廃は非常に多い年であった。専門学校の学科の改廃は、原則として官庁の許可が不要で学則の変更届だけでできる。また、専門学校は職業教育がその使命であるという性格上、つねに社会の変化を的確に把握して、それに沿った形での学科編成が求められている、などの理由で学科の改廃は非常にしばしば行われるのがふつうである。
今年度の新設学科は8分野すべてにわたって行われ、実に187学科にのぼっている。また、廃止された学科も178学科にのぼる。これは、前年の学科総数の約16%が変更になったことになる。
以下、分野別にその特徴を見てみよう。
【工業】
学科総数は233学科で、商業実務・外国語、文化・教養についで学科数が多い分野である。今年度の新設は50学科、廃止は37学科で、差し引き13学科が増えている。従って、4つに1つの割合で今年度は学科が改廃されたことになる。
工業は10の系に分けられているが、「環境・化学」を除いては全ての系で活発な学科の改廃が見られた。特に、「コンピューター」、「マルチメディア・放送」は例年と同様に今年度も改廃が激しく、両系で新設32、廃止24となっており、分野全体の大半を占めている。
【農業】
学科総数は17学科で全分野の中でも最も少ない。今年度の新設は3学科で、廃止は1学科であった。
昨年度に引き続いて、園芸関連の学科新設が注目される。
【医療】
学科総数は103学科。新設は16学科、廃止は6学科で、他分野と比較してやや落ち着いているが、「東洋医学」の9学科新設がひときわ目立つ。
また、重傷集中ケア学科、糖尿病看護学科など、従来とは異なる分野の学科が誕生したことも注目される。
【衛生】
学科総数は62学科で前年度と同じ。新設は6学科に対して廃止はわずか2学科に留まり、やや落ち着いた状況になっている。
【教育・社会福祉】
学科総数は74学科。新設は10学科、廃止は8学科である。この分野は4系に分けられているが、「社会福祉・社会教育」を除いては学科の改廃がない。「社会福祉・社会教育」に学科の改廃が集中していることは、この分野の主役の交代を物語っている。
【商業実務・外国語】
学科総数は専門学校ではトップの306学科となっている。今年度の新設は46学科、廃止は66学科で、分野全体では差し引き20学科のマイナスとなっている。
ただし、それぞれの系を子細に見ると、勢いのある系は学科数を大幅に増やしている反面、勢いのなくなった系は学科数が純減となっており、分野の中での二極化が急激に進んでいることがわかる。
例年の激しい学科の改廃は、この分野が局面を打開しようとする試みに他ならないが、新設学科の名称を見るかぎりでは、新鮮さが感じられず、この分野の悩みは深刻である。
【服飾・家政】
学科総数は113学科。新設は7学科、廃止は8学科で、学科数の割には、学科の改廃が少ない。
ただし、本来はこの分野の専門学校であるが、次の文化・教養での学科の新設という形態をとる場合もあり、詳しい分析が必要である。
【文化・教養】
学科総数は263学科で、商業実務・外国語に次いで学科数が多い分野である。今年度の新設は49学科、廃止は50学科で改廃が活発に行われている。特に、「音楽・演劇」は改廃の多さが目立つ。「デザイン」「編集・出版・文学」「音響・映像・写真」も多くの学科が改廃された。
▼社会のニーズに即応した学科新設を
専門学校は、大学等と比較しても非常に頻繁に学科の改廃が行われる。学科の改廃が法律上は届け出だけでよいという容易さが一つにはある。また、専門学校は職業教育を使命とするがゆえに、常に社会の変化を的確に把握してそれに即応する必要がある、という要因も一方にはある。つまり、入口での高校生の願望と出口での社会の要請との微妙な相関関係の上に専門学校の学科は成り立っているといっても過言ではない。
しかし、例年の学科の改廃を見ると、必ずしもこの原理原則に従っているとはいえず、教える側の必要性が先行している感がある。また、奇を衒った学科名の新設、特にカタカナ学科に多い、など専門学校の学科の改廃には問題点も少なくない。
専門学校の学科の改廃は、社会のニーズを無視して行ってはならず、学科名を目新しく変えること、それのみを目的とするような学科の改廃は厳に慎むべきことである。(鎌田)
AIK CODE (エイ・アイ・ケイ コ−ド)
AIK CODEは、1985年(昭和60年)に弊社が開発した専門学校の学科コードで、4桁の学科コードと、4桁の性格付けコードの合計8桁からなっている。他に類例のない学科コードで各方面で学科の検索などに使用されている。
【学科コード】 上4桁。1桁目:分野(1〜8)、2桁目:系(0〜9)、3〜4桁目:学科(00〜99)
【性格付けコード】 下4桁。1桁目(通算5桁目):修業年限(1、2、4など)、2桁目(同6桁目):入学資格(年齢制限、学歴制限など)、3桁目(同7桁目):昼夜の別、4桁目(同8桁目):男女の別
以上のような構成なので、例えば男子が入学できる看護学科はどこの専門学校に設置されているのか、などを簡単に検索することができる。
詳しくは、弊社出版部刊行の『国公私立 首都圏の専門学校全調査(AIK
REPORT 7月拡大号)』の29頁をご覧ください。
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