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2001年9・10月合併号

コラム 平成13年度 学校基本調査速報徹底分析  その2 高等学校卒業後の進路

専門学校進学率は17.5%(対前年度比0.3ポイント増)
高校卒業者は3年度比で47万6000人減



▼専門学校進学者数は増加

 平成13年3月の高校卒業者数は132万7000人で、前年比2000人の減少となった。少子化の影響もあり、減少傾向は続いており10年前の3年度と比べると47万6000人の減少となっている。

 卒業後を進路別にみると、最も多いのが大学等進学者で59万9000人(前年度比900人減)、続いて就職者24万人(同1500人減)、専門学校進学者23万2000人(同3700人増)、専修学校(一般課程)等入学者11万5000人(同200人減)などとなっている。

 専門学校への進学者は減少傾向にあったが13年度は増加に転じた。また卒業者全体からみた専門学校への進学者の割合を示す進学率は、17.5%で前年度より0.3ポイントの上昇となった。


▼大学等進学者は前年並み

 卒業者のうち大学等進学者数(大学の学部・通信教育部・別科、短期大学の本科・通信教育部・別科、高等学校等の専攻科への進学を含む)は、59万9000人で、前年より1000人の減少となった。

 全卒業者のうち、大学等へ進学した者の比率である進学率は45.1%で前年度と同率だった。また、このうち通信教育部をのぞいた大学等への進学率もまた45.1%でこれも前年度と同率だった。

 ここ5年間の大学進学率をみると、9年度40.7%→10年度42.5%→11年度44.2%→12年度45.1%→13年度45.1%となっており、13年度は過去最高を記録した昨年度と同率となった。背景には、高まる4年制大学への進学志向と高校新卒者の就職難などがある。また、大学側でも少子化の影響を受け、多くの入学生を獲得するためにさまざまな方法で入学機会を増やしており、一部の難関大学を除けば私立大の入試は易化傾向にある。これら傾向に変化がない限り大学等への進学率はわずかずつではあるが、今後も上昇あるいは現状を維持するものとみられる。


▼就職率は過去最低を記録

 高校卒業者のうち就職者は、約24万人で、就職率は過去最低の18.4%だった。これは前年比0.2ポイントの低下となった。相変わらず高校新卒者の就職率は低下傾向にあることがわかる。

 表は5年ごとに見た就職率の推移である。これをみてわかるように、昭和に比べて平成に入ってからは特に急激に低下している。

 要因は、長引く経済不況による就職難はもちろん、フリーター志向などが考えられるが、それだけでなく、「今はしたいことが見つからないから」、「高卒での就職活動は大変だから」、「みんなが進学するから」と、特に将来を見据えているわけでなく、大学・短大・専門学校へとりあえず進学しようとする傾向もまた一つの要因と考えられる。

 ちなみに就職者総数を産業別に見ると、「製造業」が最も多く9万3000人(就職者総数の38.0%)、次いで「サービス業」が5万6000人(同23.0%)、「卸売・小売業、飲食店」が4万2000人(同17.3%)となっている。職業別では、「生産工程・労務作業者」が10万7000人と最も多く、次いで「サービス職業従事者」が4万4000人(同18.1%)、「事務従事者」が3万2000人(同13.0%)、「販売従事者」2万9000人(同12.0%)となっている。


▼進学予備軍をどう導くか

 少子化の影響を受け、18歳人口は毎年数万人規模で減少している。これだけをみると専門学校への入学者が大幅に減少するのは当然のことのように感じられる。しかし、就職率が低下し、その減少分がこういった「とりあえず進学希望」者となり、進学予備軍であることを考えれば、それだけのせいにはできないだろう。現実に学生数が増えている学校や学科は存在するし、高校卒業者の専門学校進学者は、12年度までは減少傾向にあったものの、13年度は増加し、10年度並みの進学者を獲得している。

 「とりあえず進学」を考える高校生たちは、必ずしも将来を見据えてその進学先を選んでいるとはいえないし、フリーターにしても一生フリーターでいたいと考えている人はほとんどいない。また、もしいたとしてもごく一部の人だろう。多くの人は「今は何をやりたいのかわからないけど、将来はちゃんとした職に就いて働きたい」と考えている。

 つまり、専門学校が「専門職」を育てる職業教育の場であるならば、彼らを振り向かせる魅力ある学科を打ち出していけば、とりあえず進学組も進学予備軍も、能動的に専門学校入学者へ変わっていくのではないだろうか。(伊藤)



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