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タイトル
2002年3月号より

平成13年度 学校基本調査報告書に見る専門学校の盛衰  第4分野(衛生)
 → 入学者数は近年最高の4万3,164人で、ピーク時の1.5倍の規模に急拡大。「美容」と「その他」が好調さを牽引


 前号に引き続き、専門学校を分野別に見ていく。今回は第4分野の衛生を見てみる。使用する資料は、文科省の『学校基本調査報告書』の50分類で、これを基に平成2年度以降の推移を定員数や入学者数を中心に見ていく。

■依然続く増加傾向

 次ページからの表を見て分かるとおり、第4分野(衛生)への入学者数は、平成2年度以降順調に増加している。この勢いは、専門学校入学者数が最も多かった4年度以降も衰えることない。13年度の入学者数は4年度比で158.1%にまで拡大しており、第3分野(医療)とともに、4年度以降、入学者数の減少が続く専門学校の他分野とは異なる動きを見せている。

 衛生分野が堅調な伸びを示す背景には、若い世代に人気のヘアメイクやネイルアートなどおしゃれに関連する「美容」、「理容」学科が含まれいること、そして国家資格関連学科である「栄養」や「調理」が含まれていることが挙げられる。

 衛生分野を細かく見てみると、4年度比でマイナスになったのは、「栄養」のみだが、それでも77.0%と他分野(系)と比べるとかなり高い数値で推移している。

 最も伸びが顕著だったのは「その他」で、4年度比で329.8%と3倍以上にまで拡大した。これは「その他」に製パンや製菓衛生師といった人気の学科が含まれるためと考えられる。

 「美容」人気も依然好調で、4年度比251.5%と倍以上にまで拡大した。「調理」「理容」は、「その他」や「美容」の伸びに消されあまり目立たないが、いずれも4年度を上回る入学者数を維持している。

 充足率を見てみると、100%を超えているのは「美容」で103.9%、以下、「その他」85.2%、「栄養」74.2%、「調理」69.7%、「理容」39.9%、となっており、理容が大きく落ち込んでいるのが分かる。

 衛生分野の13年度の構成比は高い順に、「美容」=49.3%、「調理」=28.8%、「その他」=9.7%、「栄養」=8.2%、「理容」=4.0%となっている。8年度までこの分野の4割以上を占めていた「調理」は、9年度以降、38.8%、36.8%、34.1%、31.7%とその割合を減らし、13年度はついに30%を割りこんでしまった。代わって10年度以降は「美容」が4割以上を占めるようになり、13年度には第4分野の約半数を占めるまでになっている。

★401「栄養」

 分野全体が増加傾向にある中で、唯一、この流れとは逆の動きをしているのが「栄養」だ。6年度までは他の系同様、拡大傾向にあったが、専門学校の栄養科が大学や短期大学の栄養科に移行したこともあり、その後は減少へと転じた。しかし減少し続けているとはいえ、11年度を底にここ2年間は盛り返してきており、今後は3,000〜3,500人程度で推移していくと思われる。

 「栄養」は2年間修業すれば国家資格である栄養士の資格が卒業時に取得できる。近年の資格取得に対する意識の高まりを考えると、この系はもっと人気が上がってもよいのだが、実際の数値はそのようになっていない。

 人気の上がらない理由としては栄養士資格取得者の人数過多にあるといわれている。資格を取得したからといって必ずしも即就職できるとは限らない。また、大学や短期大学の家政学部との競合もある。この系は、そういう意味で今後かなり難しい状況に直面することになろう。

 しかし一方では、今後ますます加速する高齢化社会、女性や障害者の社会進出などにより、老人ホームや保育施設、養護施設など、管理栄養士もふくめて栄養士が必要とされる場は確実に増えていくはずだ。また、近年の健康ブームも手伝って、スポーツ栄養士や健康栄養士など、専門部門に特化した栄養士も注目を集めていくだろう。

 大学・短期大学との競合はあるが、時代のニーズを捉え、専門学校としての利点を活かした柔軟な発想をもったカリキュラムでの対応を期待したい。

★402「調理」

 この系は、4年度以降も順調な伸びを見せていたが、8年度をピークに一転して減少に転じた。8年度まではグルメブームに後押しされる形で急拡大したが、ブームが落ち着くに連れ入学者も減少してきた様子が見てとれる。13年度は8年度比で76.8%、3,759人と減少した。

 一方で、入学定員は拡大を続けているため、8年度には97.8%と好調だった充足率は、その後、90.4%、82.7%、78.6%、75.7%となり、13年度は69.7%となって、初めて70%台を割り込んだ。

 「調理」も「栄養」と同じように、卒業時に国家資格が得られる学科である。しかし資格取得だけをメリットとして謳っていては、入学者数の増加は見込めないのではないか。

 消費者の食に対するニーズは、グルメブーム以降、多様化、細分化したが、同時に“食”を演出する要素も求められるようになってきた。そのため、規定科目に加え、どのような特徴あるカリキュラムを構成できるかが問われてくるだろう。

 すでに、経営論やマーケティング論、情報処理、簿記、サービス論、外国語などを取り入れているところもある。また、フードコーディネトやテーブルアレンジメント、食器や花類などによる演出など、従来とはかなり違った広範囲なカリキュラムを組み込む学校も出てきた。

★403「理容」

 「理容」は、専門学校への入学者数のピークであった4年度には、最も低い入学者数を示すという他の分野(系)とは異なる動きを見せている。4年度以降、入学者数は増加に転じ、8年度にピークを迎える。その後再び減少に転じ、13年度は8年度比64.7%で946人の減少となった。

 法改正によりインターン制度が廃止され、10年度から2年制になり、課程を修了すると直接国家試験の受験資格が得られるようになった。これにより当初は入学者の大幅な増加が期待されたが、以降も減少の一途を辿っているその原因をはっきりさせる必要があろう。

 それでも13年度の入学定員は8年度を上回っており、近年最高だった12年度の4,455人に続く4,340人となった。そのため、逆に充足率は40%を割り込み過去最低の39.9%となってしまっている。

 かつてこの分野では、男子は「理容」、女子は「美容」という棲み分けがなされていたが、最近は男子でも「美容」へ入学する学生が増えてきた。これが「理容」低迷の大きな要因の一つと考えられるが、現状のままでは「美容」への流出を食い止めるのは難しい感じがする。

 将来の理容店経営者を見据え、サロンの経営法や情報処理などを授業に組み入れる学校も最近では出てきた。「美容」にはない「理容」独自の何かを生み出し、強くアピールしていく必要があろう。

★404「美容」

 4年度以降も入学者数は順調に伸び続け、13年度には4年度の約2.5倍の2万1,276人となった。他の分野(系)が4年度をピークに大幅に減少していることから見れば、かなり異質の動きをしていることが分かる。「理容」とは異なり、ここでは修業年限の延長効果がみられ、第4分野(衛生)全体の好調さを「美容」が牽引しているといえなくもない。

 7年度以降は、入学者数が入学定員を上回る数値で推移しており、13年度の入学定員も4年度比で174.6%の2万471人と増加し、充足率も103.9%と100%を上回った。

 好調な要因として、法改正により専門学校で2年間の課程を修了すれば卒業時に受験資格が得られるようになったこともあるが、それ以上に若者の「美」への意識の高まりが挙げられる。男女の別なく美容師への人気が高まっているのに加え、ネイルアートやメイクアップなど、美容師の仕事の幅も広がりを見せている。

 13年度の入学者数を男女別で見てみると、男子5,891人、女子1万5,385人と、男子は全体の27.7%だが、延び率は著しく4年度比で343.5%と大きく拡大した。

 しかしこのような増加傾向は、一過性のブームに裏打ちされたものと考えられなくもない。かつて「調理」がグルメブームの影響で人気を博したものの、現在は伸びに陰りが見えてきているように、「美容」もいつ同じような道を辿らないともかぎらない。そのような状況にならないためにも、遠く将来を見据えた真剣な取り組みが求められている。

★409「その他」

 「その他」には、近年人気の製パンや製菓衛生師が含まれており、これが「その他」の中で大きな割合を占めている。そのため13年度は4年度比で329.8%と3倍以上にまで増えた。なかでも女子の入学者数の増加が著しく、4年度比で510%と5倍以上に拡大した。

 男女の構成比を見てみると、4年度まではほぼ50%と同じ比率だったが、5年度以降は女子の割合が増え、13年度は77.8%と女子が多数を占めるようになった。

■ニーズを捉えた柔軟対応を

 第4分野(衛生)は、第3分野(医療)と同様に、調理師、栄養士、理容師、美容師、製菓衛生師など、国家資格に直結する学科がほとんどである。これらの資格は国家資格の中でも比較的取りやすい資格といわれ、また、実力次第では将来は独立して事業展開といった夢も抱けるため、高校新卒者だけでなく幅広く一般の社会人なども入学している。しかも「栄養」を除けば、大学・短期大学の学部・学科との競合もなく、専門学校の独壇場という強みがある(「美容」は一部短期大学と競合する)。

 しかし一方で、この分野は流行に左右されやすい学科から成り立っている分野ともいえる。バブル期以降のグルメブーム全盛の頃には、調理師資格が取得できる「調理」で入学者の増加が見られたが、ブームが落ち着きを見せ始めると、この動きに比例して入学者も減少し始めた経緯を真摯に受け止めたい。

 現在、第4分野(衛生)の入学者の半数近くを占める「美容」も、カリスマ視される美容師がマスコミをにぎわして以来、拡大の一途を辿っている。しかしブームが去った後、「調理」と同じような道を辿らないとも限らない。そのため、単に資格取得に必要な規定科目の履修に留まらず、経営学やマーケティング学など、遠い将来の可能性を踏まえた新しい講座を履修できるようにした工夫も必要である。

 専門学校は資格取得だけを声高にアピールしていたのでは、将来がない。時代ニーズを敏感に捉え、ブームの到来を見越した魅力的な内容、コースを設定していく必要があるだろう。大きな需要を抱える分野であるだけに、さらなる拡大を期待したい。(立山)




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