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2003年4月号より
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自然科学論文引用
→ 世界トップ100に東大など5大学
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米国の学術調査会社・トムソンISIはこのほど、1992年から2002年までの11年間に発表された論文の被引用数に基づいて、日本の研究機関ランキングを発表した。それによると、世界のトップ100に東京大学(世界16位)、京都大学(同30位)、大阪大学(同36位)、東北大学(同82位)、名古屋大学(同99位)の5大学が入った。分野別でも、物理学で素粒子・ニュートリノの研究で業績のある東京大学、材料科学で金属材料研究所を持つ東北大学が世界トップになり、化学では東京大学が世界2位、京都大学が同3位にランキングされた。
同社は、世界中の学術誌から毎年100万件を超える論文を集めて分析しており、世界最大の学術データベースとして権威がある。今回は、日本国内の上位20位のランキングを、世界におけるランキングと合わせて初めて発表した。それによると、国内の1位から7位までは旧帝国大学が並んだ。また、国内の上位20位中17機関が国立大学だった。旧帝国大学以外の地方国立大学の健闘が目立ち、国内11位に広島大学、同16位に熊本大学が入っており、日本の理科系分野の研究の裾野の広さをうかがわせている。私立大学は慶応大学が同14位(世界332位)に入った。
2001年のノーベル化学賞受賞者の野依良治・名古屋大学教授は、被引用度の高い論文を書いていた。同教授のように被引用度の高い論文を書く研究者は、ノーベル賞の有力候補者ともいえる。その意味で、今回のトムソン社調査で、1論文当たりの平均引用数が高かった理化学研究所、東京医科歯科大学、国立がんセンターなどは、将来のノーベル賞候補者が出る可能性が非常に高いといえる。
政府が進める行財政改革の一環として、2004年4月から独立行政法人になることが予定されている国立大学だが、自然科学分野での研究内容は世界的にも極めて高いものといえる。独立行政法人化によって研究の質を落とすことなく、TLO(技術移転機関)などによって研究成果の活用を図ることで、日本経済の復活に大きな役割を果たしてくれることを期待したい。(石田)
参考資料: 論文引用数トップ10(エクセル形式)
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