前号に続いて、文部科学省の「学校基本調査速報」に基づいて平成15年度の専門学校を分析する。
表1は年度別専門学校の平成10年度からの推移である。表からだけでは分からないが、平成10年度の3,020校がピークであった。以降年々わずかづつではあるが減少し、15年度には対ピーク時56校減で、2,964校でとなった。10年度比の増減の内訳を国公私立別にみると、国立46校減、公立12校減、私立2校増で、国公立が減少しつづけているのに対し、私立は増加している。国立の専門学校の多くが、医療系、特に看護学校で、行政改革の一環として国立病院の附属看護学校が統廃合されている現状がうかがえる。これに対し私立の専門学校がピーク時を超える勢いを示しはじめていることは、特筆に値するだろう。少子化の影響で希望すればだれでも大学に入れる状況になったことから、大学のブランド力が低下、それよりは手に職のつく専門学校に入った方がトクというような意識が高校生に広がっているのではないだろうか。
1校あたりの学生数は10年度では210人だったが、15年度は1校あたり231人となっており、少子化という逆風の中で、専門学校が他からの援助なしに独立した運営をするため必要といわれる240人レベルに近づきつつある環境になってきており、このことも私立の専門学校が増えている一つの要因となっている可能性がある。
■2年、3年課程の学生数は大幅増
表2は年度別修業年限別学生数である。2年未満(表2注参照)だけが前年度割れで、他はすべて対前年度大幅増となっている。3年未満(主に2年)と4年未満(同3年)が、14年度、15年度と連続して大幅に増加しているのが分かる。この理由の一つとして、専門学校の多くの学科で修業年限が延長されていることが考えられる。
また、その他の理由として、昨今の就職難を反映して、学生が就職浪人を嫌い自主的に修業年限を延長して在籍していると見ることもできる。
■大学卒業者の入学増加傾向続く
表3を見ていただきたい。学校数が減少しているにもかかわらず、入学者数が12年度から4年連続で増加している。11年度から12年度にかけての10万人以上という大幅な定員増も一つの理由であろう。また、前月号でみたように、首都圏に限ってみても、学科数が増加している。ここ数年の動きをまとめると、学校数は減少しているものの、定員増や学科増で入学者の増加に対応してきた専門学校の姿が浮かびあがる。特に14年度と15年度は前年度に比べて入学者数が1万人以上増加しており、専門学校側の努力が実った結果ともいえそうだ。
表には計算結果がないが、10年度から14年度までの定員充足率は、72.2%→71.2%→71.5%→72.0%→74.4%と、14年度には10年度に比べても大幅な改善がなされていることが分かる。なお、入学者の男女比は、ほぼ45:55という比率になっており、大きな変化はみられない。表4は入学者のうち、大学等を卒業したものについての統計である。11年度から統計がとられているが、全体としては年度ごとの大きな変動は見られない。しかし、短大卒の入学者が13年度以降減少傾向にあるのに対し、大学卒の入学者は連続して増加している。これは、大学を卒業しても容易に就職できない時代背景を色濃く反映している。専門学校側もこうした状況に対応、大学卒業者を対象にした福祉系学科などを次々に開設している。
表3の卒業者数に関しては、14年度は26万6,845人と約2000人増加した。卒業者の男女内訳を見ると、男子が633人減少しているのに対し、女子が2,906人増加しているのが分かる。(石田)
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