10月1日から国立大学法人法が施行され、国立大学20校を再編統合、短大を含め89の国立大学法人が誕生する。国立大を第3者の視点で評価する「国立大学法人評価委員会」も同日発足する。
統合再編される大学は以下の通りとなる。
1. 東京海洋大(東京商船大+東京水産大)
2. 福井大(福井大+福井医大)
3. 神戸大(神戸大+神戸商船大)
4. 島根大(島根大+島根医大)
5. 香川大(香川大+香川医大)
6. 高知大(高知大+高知医大)
7. 九大(九大+九州芸工大)
8. 佐賀大(佐賀大+佐賀医大)
9. 大分大(大分大+大分医大)
10. 宮崎大(宮崎大+宮崎医大)
おもに地方大学中心で、単科大学、特に医科大学と総合大学の統合が目立つ。
国立大学法人法によると、法人化後は、文部科学省が各大学と評価委員会の意見を聴取した上で、研究・教育や経営の指針となる6年間の中期目標を決める。中期目標は(1)
教育研究の質の向上 (2) 業務運営の改善及び効率化 (3) 財務内容の改善 (4) 教育及び研究ならびに組織及び運営の状況について自ら行う点検及び評価ならびに当該状況に係る情報の提供、が主な項目となる。
大学側はこの目標をもとに、実現のための具体的を盛り込んだ中期計画(6年間)を作成する。中期計画では(1) 教育研究の質の向上
(2) 業務運営の改善及び効率化 (3) 予算(人件費の見積りを含む)、収支計画及び資金計画 (4) 短期借入金の限度額
(5) 剰余金の使途、などについて決め、文部科学相の認可を受けることになっている。
■学外委員半数以上の経営協議会設置
同法では、各国立大学法人に経営協議会を置くことも定められた。委員は学長が指名する理事及び職員のほか、当該国立大学法人の役員または職員以外で、大学に関し広くかつ高い識見を有する人物を学長が任命するが、半数以上をこの学外の委員で構成しなけらばならない。議長には学長が就任する。
経営協議会は、中期目標や中期計画の経営に関する事項、会計規程、予算・決算などについて審議する。また、教育研究評議会も設けられ、教育課程の編成、学生指導などについて審議する。
法人化後、国立大の教職員約12万人は非公務員となる。また、大学の方針決定にあたっても、教授会で話し合って決めるやり方が主流だったのを、学長のリーダーシップを発揮しやすくするため、学長の権限と責任を強化する。
同法では、国立大学法人のほか、四つの大学共同利用法人も設けられる。その内訳は(1) 人間文化研究機構(東京都) (2)
自然科学研究機構(東京都) (3) 高エネルギー加速器研究機構(茨城県) (4) 情報・システム研究機構(東京都)となる。
■評価委に経済界から4人任命
国立大学法人評価委員会は16人で構成され、平均年齢は64.4歳。内訳は国立大の元学長が5人、私立大の元・現学長が4人で、学長経験者が半数以上を占める。ノーベル化学賞受賞者で、現理化学研究所理事長の野依良治氏も委員となる。経済界からはキャノン社長の御手洗冨士男氏ら4人が任命される。
同委員会の委員長は、10月に開かれる評価委員会の第1回会議で互選で選ばれる。
評価委員会に加え、大学の研究成果を活用するための技術移転機関(TLO)への国立大学本体の出資も認められるようになることから、より社会一般に開かれた大学になることが期待されている。
国立大学法人評価委員会のメンバーは以下の通り。
阿部博之氏(東北大名誉教授)、椎貝博美氏(山梨大名誉教授、日本河川協会長)、荒川正昭氏(新潟大名誉教授、新潟県福祉保健部・病院局参与)、丹羽雅子氏(奈良女子大名誉教授)、鳥居泰彦(慶応義塾学事顧問、日本私立学校振興・共済事業団理事長)、飯吉厚夫氏(中部大学長)、ウィリアム・カー氏(上智大学長)、後藤祥子氏(日本女子大学長・理事長)、御手洗冨士男氏(キャノン社長、日本経済団体連合会福会長)、寺島実郎氏(日本総合研究所理事長、三井物産戦略研究所長)、奥山章雄氏(日本公認会計士協会長、中央青山監査法人代表社員)、南雲光男氏(日本労働組合総連合会福会長、日本サービス・流通労働組合連合常任顧問)、野依良治氏(独立行政法人理化学研究所理事長)、中村桂子氏(JT生命誌研究館長)、勝方信一氏(読売新聞東京本社論説委員)、木村孟氏(大学評価・学位授与機構長)(石田)
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