国立国語研究所では、平成14年8月に「外来語委員会」を設け、国の省庁の行政白書や新聞など公共性の高いものを対象に、一般の国民に分かりにくい外来語が使われていないか、使われていればそれに換えるべき分かりやすい言葉や表現としてどんなものがあるか提案している。同委員会はこれまで、平成15年4月に第1回提案の最終発表、同年7月に第2回提案の中間発表を行った。今回は第1回の提案内容の一部を紹介する。
近年、公的な役割を担う官庁の白書や広報誌、日々の生活に欠かせない新聞・雑誌・テレビなどで数多くの外来語が使われている。しかし、こうした外来語の使用状況を見ると、読み手の分かりやすさに対する配慮よりも、書き手の使いやすさを優先しているケースが多くみられる。官庁や報道機関など公共性の強い組織が、なじみの薄い外来語を不特定多数の人に向けて使用する場合は、それぞれの指針に基づいて言い換えや注釈などの工夫を施すことが大切となる。
同委員会では、こうした言い換えの提案をすることで、読み手の理解を手助けすることを目指している。
提案では、分かりにくさの程度を知るための目安として、その外来語の意味が国民にどれぐらい理解されているのか、国民各層に対する調査の結果から、大きく4段階に分けて示している。黒い星が多いほど、理解度が大きい。
また、60歳以上の理解度についても、黒い星の数で示している。国民全体としてみれば定着が進んでいるようにみえる言葉であっても、60歳以上の年齢層では、理解度がそれより低い段階にとどまっているケースがある。これらの外来語については、伝える相手の中に高年齢層が含まれる場合には、特別の対応が必要となる場合がある。(石田)
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