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タイトル
2003年12月・2004年1月合併号より

「留学生10万人受け入れ計画」の達成と一段と厳しさを増した入管行政日本語学校の努力の成果

 文部科学省は、2003年5月現在の留学生数が前年同期比約14.6%増の10万9千508人になったと発表した。これで、政府が目標としてきた「留学生10万人受け入れ計画」がついに達成されたことになる。留学生の少なからぬ人数が日本語学校卒業者で占められている現状を考えると、計画達成の裏には、就学生を受け入れ、学生管理や日本語教育に汗を流してきた日本語学校の粘り強い努力があったといえる。

 留学生数は平成8年に一旦減少に転じたが、10年には5万1千298人と再び上昇カーブに入り、12年に6万4千11人(前年比8千256人増)、以降、13年は7万8千812人(同1万4千801人増)、14年は9万5千550人(同1万6千738人増)、15年は10万9千508人(同1万3千958人増)と11年からの4年間で約5万人以上増加した。

 平成8年に留学生数が一時減少したのは、2年前の6年に就学生が前年比1万2千527人減の2万580人に落ち込んだのが大きな原因である。日本語学校の学生は多くが2年で卒業するため、6年の就学生の減少が、8年の留学生減少に影響を及ぼしたと考えられるからだ。 6年以降、就学生は7、8年と2年連続で減少したが、その2年後の9、10年の留学生数も減少、または微増にとどまった。逆に就学生数が9年に再び増加に転じると、その2年後の11年には、留学生数は5万5千755人(前年比4千457人増)と大幅に増えた。その後も就学生が増加しつづけるのに伴い、留学生も増加した。留学生数が、就学生数と密接に関連していることがこのことからもよく分かる。

 15年の留学生を国別に見ると、上位に変動はなく、中国、韓国、台湾、マレーシア、タイの順となっている。中国は対前年比21%増と大幅な伸びを示し、7万814人と全体の7割を超えた。マレーシア、タイもそれぞれ対前年比6.2%、9.1%増加した。一方、台湾は対前年比0.7%減少した。

 15年の留学生の在籍校別内訳は、大学(学部)・短大・高専が最も多く5万7千911人(前年同期比15.1%増)で全体の52.9%を占める。次いで大学院の2万8千542人(同8.8%増)で、以下、専修学校(専門課程)2万1千233人(同23.6%増)、準備教育課程1千822人と続く。大学(学部)・短大・高専と専修学校(専門課程)が大幅に増加しているのが目立つ。これは就学生の約7割を占める中国人就学生の多くは、このいずれかに進学することが多いからである。

 ここまで見てくると、就学生の増加が「留学生10万人受け入れ計画」達成の後押しをしてきたことが分かる。同計画は、多くの外国人が留学する当時のフランス並みの水準を目標に、中曽根内閣によって策定されたものだが、日本に来て間もない就学生の教育の現場で携わっている日本語学校、特にその教職員の努力が実ったということがいえよう。

 中には、勉学ではなく就業を目的とした就学生・留学生が多いなどとの批判もあるが、これらの学生の質を高めるためには、高等教育機関だけでなく、日本語学校での教育をこれまで以上に充実させることが期待される。

  厳しさを増した入管行政の目的は前ページの資料は、実は昨年11月に文科省から発表されたものだ。偶然の一致ではあろうが、時を同じくして、入管が極端ともいえる厳しい施策を打ち出した。例年、翌年の4月生の申請締切は11月末で、その時に慣例では1月生の在留資格認定証明書の交付がある。しかし、今年は1月生については10月頃から各校に順時連絡が入り、中国など、いわゆる不法滞在の多い国からの申請について、支弁関係を中心にした全資料の提出が求められた。

 連日のマスコミの外国人犯罪の報道で、「入官行政が厳しくなる」という噂は以前からあったが、この時点、つまり昨年10月頃においては、それは噂の域を出ないものであったし、その後の厳しさを伺わせるものは何もなかった。

 しかし、10月には、1月生について、これも慣例にないことであるが、一斉にではなく、各校に個別に入官から連絡が入り、支弁関係の全書類の提出が求められた。従来、いわゆる適正校は入管への提出書類が申請書と入学許可書(コピー)の2種類だけでよかったので、多くの学校は大騒ぎをしながらも提出をしたが、そのほとんどが裏付けのないものとみなされた。

 この時点で、初めて「財産形成過程」なるものの証明が求められた。つまり、従来は150万円ないし300万円相当の銀行の「残高証明」だけで良いとされていたものが、この時に初めて、その150万円や300万円の蓄財過程が証明されていないので、不可ということになったわけである。

 11月に入ると、また新たな通達が入管からすべての日本語学校にあった。それによると、4月生については、モンゴルを新たに加えた中国など4か国に関しては、適正校・非適正校を問わずすべての日本語学校に全書類の提出が求められた。究めつけともいえるものが、預金通帳の写しなど蓄財過程を証明する資料の提出である。

 11月といえば、4月生の申請の最終月であり、どの日本語学校でも入学審査はほぼ終了し、翻訳など提出直前の作業をしている時期である。それが、突然、普通預金通帳など蓄財過程を証明するものを提出せよ、となったわけである。大騒ぎにならないわけがない。普通預金の通帳などはプライバシーの最たるものであるからだ。

■犯罪イコール外国人の構図

 入管行政が「ある日、突然に」ともいえるほどに厳しくなったその背景を以下に少し見てみよう。外国人による犯罪が「すり」「たんなる物とり」など、直接人命に関わるものではない比較的軽い犯罪から、昨近では「強盗」「殺人」などの凶悪犯罪が増えていることは事実である。その究めつけが、福岡の一家殺人事件といえよう。

 平成14年、警視庁管内では約55万件の犯罪があった。その内、外国人によるものが約2万4千件である。確かに決して少ない数ではないし、また、年々その数が増えていることもまた事実ではある。全国で永住者・定従者が200万人弱、それに短期滞在の外国人等をいれれば約300万人の外国人が日々日本に住んでいることになる。これを全人口でみれば、100人に2人強の外国人となる。先ほどの55万件に対して2万4千件の外国人犯罪は比率として見れば確かに少なくはない。

 このような背景のあるところに、例の福岡一家惨殺事件である。マスコミは一斉に外国人犯罪がらみのニュースを連日報道し始めた。また、自民党は先の参議院議員選挙の公約に向こう5年間で不法対在者の半減を打ち出した。時を同じくして、石原都知事は外国人犯罪撲滅運動を開始した。こうなれば、わが国民性がいかんなく発揮される。一定の方向に一斉シフトである。外国人イコール犯罪者という構図になることは論をまたない。

■「水道の蛇口論」は愚策

 東京入国管理局長の坂中英徳氏が月刊誌に論文を発表した。目指すべきは「小さな日本」か「大きな日本」か、というサブタイトルが付いているが、論文を一読すればわかるように、氏は決して「大きな日本」論者ではない。外国人の入国を厳しく規制すべきという一点では揺るぎがない。

 外国人を多く受け入れる「大きな日本」という方策もあるよ、とはいっているが、一方では、人口減少分を補うためには、向こう50年間で3000万人もの外国人を受け入れなければならない、などという机上の極論を展開し、結局は「小さな日本」しかありえない、と主張しているとしか思えない。

 わが国は1億3000万人弱をピークにまもなく人口減少過程に入る。その結果が、遠い将来ではあるが、人口が6000万人にまで半減するともいわれている。だからといって、外国人を入れなければならない、と短絡する必要はない。氏の主張する「大きな日本」論のパラドックスに陥るだけである。

 外国人受け入れ問題を人口論や労働力という観点からのみ論じてはならない。日本が世界のなかにあって、どのようにして人間として共生してくのか、その結果としてどのような貢献をなしうるのか、という観点を忘れてはならない。

 外国人犯罪が増えた。だから、水道の蛇口よろしく入官行政を厳しくして入口を閉めればよい、という「水道の蛇口論」は愚策である。

■気になる「先進国ぼけ」

 もう一つ気になることがある。先進国の人間の陥る欠点だが、自分たちのシステムが最良で唯一のものである、という唯我独尊だ。先進国の人口は全世界人口の5分の1にしか過ぎないというのにである。

 「住民票はあるのが当然である」は、全世界レベルで考えたときに、必ずしも真であろうか。人口統計がなされ、官庁機能が有効に、かつ日常的に発揮されてはじめて真となるのではないか。中国の戸口簿の例を見るだけでも、必ずしも真ではないことがわかるであろう。

 また、「国民一人一人の所得は毎年正しく捕捉される」も真ではない。かつて、イタリア経済の捕捉率は3割とも4割ともいわれた。資本主義経済に転換したともいわれる中国にあっては、官庁の役人や大企業の社員が、いわゆるアルバイトをし、そちらからの収入が本俸よりはるかに多い、などは珍しいことではない。中国にはベンツがやたらに多い、と冗談まじりにいわれる由縁である。

 「後期中等教育卒者は12卒である」も真ではない。小学校、中学校はほとんどの国では義務教育である。また、高等学校教育も、実質的には義務教育となんら変わらなくなっているのは日本だけではない。つまり、半ば義務教育化した高等学校までの教育システムは、それぞれの国の根幹をなす教育システムであるということである。その国の文化そのものといってもよい。日本が12卒だから12卒でなければならない、というのはそれこそ唯我独尊でる。

 外国人犯罪を少なくするためには入口を閉めればよい、という論は短絡以外のなにものでもない。厳しい入管行政を受けて、中国の教育部が早速反応している。中国など4か国に対象をしぼった今回の入管行政は、一歩間違えれば、国際問題ともなりかねない。また、このことは日本語学校の経営の根幹をゆるがすことにもなりかねない。

 「留学生受け入れ10万人計画」が日本語学校で学ぶ就学生によって支えられていることは先に見たとおりである。入管行政は朝令暮改であってはならない。わが国の進むべき方向をしっかりと見据えた入管行政であってほしい。(鎌田)




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