就職を希望する今春卒業予定の高校生のうち、2003年10月末現在で就職が内定していたのは、48.1%であることが、文部科学省が発表した調査結果で明らかになった。88年の調査開始以降最悪だった2001年同期を1ポイント上回ったものの、2年連続の50%割れとなった。
調査によると、就職を希望する高校生約23万3000人のうち、10月末現在で就職先が内定していたのは約11万2000人(男子約6万2000人、女子約5万9000人)。こうした中、高卒者の受け皿としての専門学校の役割はますます増大することになる。
都道府県別にみると、最も内定率が低いのは沖縄の16.8%で、以下、北海道(26.7%)、宮城(32.2%)、青森(32.5%)、福岡(32.7%)の順。高かったのは岐阜(73.1%)、愛知(70.0%)、富山(69.7%)、三重(68.2%)、福井(63.8%)が目立つ。
こうした状況を受け、高校生が進路先として、専門学校を積極的に選ぶ傾向が強まっている。文部科学省の学校基本調査によると、平成15年度の高校(全日制課程・定時制課程)卒業者約128万1千人のうち、専修学校(専門課程)進学者は約24万2千人と、前年より約5千人増加している。進学率でみても、全体の18.8%を占め、前年度より8ポイント上昇した。
その背景には不況下で、企業が即戦力を求める傾向が強くなっていることがあげられる。高校生が、即戦力を求める企業に就職するため、専門学校に進学するケースは今後も増大することが予想される。
一方、2003年春に高校を卒業し、就労している若者の31.2%がパートとして働いていることが、厚生労働省の03年上半期雇用動向調査で明らかになっている。前述した企業側の採用絞込みによって、高卒者は正社員としてではなく、「フリーター」など非正社員が増加している。学歴による格差が拡大していることについては今後の推移を注意深く見守る必要があるとともに、何らかの施策が求められる。
高卒以外のパート労働者の割合は、専門学校卒が5.6%、高専・短大卒が3.7%、大卒が5%となっており、高卒の割合が突出していることがわかる。
こうした状況が高卒者の専門学校進学増加に大きな影響を与えていることは想像に難くない。つまり、高校を卒業しても、正社員としてではなく、パート労働者(フリーター)としてしか働けないという環境下では、高校生は大学や専門学校などに進学するしか選択肢がないという状況に追いこまれているといえないだろうか。
企業がパート労働力を基幹労働力と考え、正社員を減らす傾向は今後一層強まることが予想される。そうすれば、高卒者の進路の選択の幅がどんどん狭まっていくことになり、専門学校への進学者増につながる可能性がある。
専門学校サイドでは、こうした状況を受けて、奨学金の拡充などの対策をしている学校もある。だが、大学などに比べてまだまだ不充分なのではないだろうか。自治体などと連携した専門学校における就学支援策などが、今後より一層必要とされるゆえんである。(石田)
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