前回のレポートVol.8では、「工業」のうち「工業技術系統」に属する6系の推移を分析した。今回は、残る「電気・電子系統」の系についてレポートする。
「電気・電子系統」に属する3つの系のうち、対前年比で入学者数が増加したのは、108「情報処理」、109「その他」の2つで、対前年度比はそれぞれ3.7%増、9.4%増。107「電子計算機」は減少し、対前年度比4.4%減だった。どの系にも際立った変動は見られず、おおむね分野全体の動きに沿った推移となった。
★107 電子計算機
かつては分野の花形の一つだったが減少が続き、22年度は入学者1,584人と、中小規模の系に縮小している。規模的にも内容的にも、単独ではなく、108「情報処理」と合わせて考えるべき系と考えられる。
★108 情報処理
22年度の入学者1万1,958人と、唯一1万人の大台を超える分野最大の系であり、全体の約33%を占めている。かつては107「電子計算機」とともに、分野のみならず専門学校全体のトップランナーだったが、求められる技術の高度化・複雑化に対応しきれず、12年度、22年度の微増を除いて減少し続けている。22年度の対前年度比は103.7%と、分野全体の前年度比103.9%とほぼ同様の水準に止まった。
「土木・建築」などの系とは異なり出口業界自体はアクティブであるため、大学の理工系学部と棲み分けし、社会のニーズを的確に掴んだ学科設置による改善が求められる。
★109 その他
22年度の入学者数は、人数ベースで614人、対前年度比で109.4%と微増している。
Vol.8で述べたように、この系の中には、内容的に102「土木・建築」と類似する製図、製図トレーサー、環境整備、105「自動車整備」と類似する自動車工業、航空工学、自動車地質調査、106「機械」と類似する工業、造船、金属など、別の系と合わせて見たほうがより実態に近いと考えられるものが含まれる。それらを除き、本来の意味で109「その他」にカテゴライズされるのは、応用化学、公害、眼鏡、時計眼鏡宝飾、眼鏡技術、遺伝子工学(バイオテクノロジー)などである。
■参考資料
○専門学校工業関係の入学定員、入学者数の推移(平成22年度版)
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