センスアップマナー

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表紙　／　本文

この本は……　（「はじめに」より）

　人間の発達段階において青年期、とりわけ生活人として社会の場に立っていない学生時代は、「社会的モラトリアムの期間」と言われています。この時期は、青年が自分の人生と将来への方向づけを達成するために、学び、考え、模索する期間と位置づけられて、自覚的社会人となるまでの「猶予された期間」というわけです。つまり、青年がアイデンティティーを獲得するために社会的に許された特別な期間であって、青年の特権と言ってもよいでしょう。その特権がピリオドを打つのが『就職』（社会人への仲間入り）だと言えるでしょう。　
　
　専門学校生や短期大学生となった皆さんは、社会人への巣立ちの準備をしなくては、と徐々に思い始めていることでしょう。社会への巣立ちを前に、学生であるがゆえに許された自由な、ある意味では勝手気儘なライフ・スタイルが、社会（ビジネス社会といってもかまいません）で通用するかどうか、不安に思うことはありませんか。　
　
　本書は、ビジネス社会で最低限必要なコミュニケーション能力が、段階をおって身につくように編集されています。例題や演習問題も豊富で、実践にそくして学べるように構成されています。基本編と応用編に分かれており、基本編では企業人として活動していくのに必要なコミュニケーション・スキルの習得方法や、マナーの心得をわかりやすくまとめてあります。応用編では一般常識、就職活動の手引き、社会人としての心構えが中心となっています。　
　
　これまで、人とのつきあい方は「礼儀・礼節」あるいは「マナー・エチケット」というように受け取られてきました。常識であり、教養であったといえましょう。しかし、私たちは、ビジネス社会での“人とのつきあい方”にはノウハウがあり、今日では獲得すべき技術になっていると考えています。それがコミュニケーション・スキルです。だからこそ、よいカリキュラムと教材、そして講師との出会いが必要となってくるのです。　
　
　本書の執筆者は、各種専門学校の教壇に立って実績を積まれた経験豊富な現役の講師です。現代の若者に日々接し、学生の皆さんが何を求め、何に背を向けているのか十分熟知しています。またビジネス社会が何を求めているのかも理解しています。本書がその橋渡しとなり、皆さんが本書を活用して、コミュニケーション技術の基本を身につけ、より豊かな社会生活をおくられることを期待しています。