子供のころの夢は何でしたか?
野球選手でしたか、サッカー選手でしたか? それとも総理大臣ですか? 女性だと、制服にあこがれてスチュワーデスさんとか、白衣の天使の看護婦さんになりたい! と言っていた人も多いのではないでしょうか。
あなたは今もその夢を持ち続けていますか? 今、その夢をかなえて、実際に社会で働いている自分を想像できるでしょうか。毎日の部活や遊びで忙しくて(勉強も?(笑))、自分が社会人として働いている姿はなかなか想像できないかもしれません。とは言っても、このページを読んでいるあなたは、高校卒業後の進路について考えなくてはならない時期にそろそろきていることでしょう。進学するのか、それとも就職するのか……。それは、人生の大きな分かれ道です。黙っていても卒業の時はやってきます。あなたはどの道に進もうとしているのでしょうか?
この特集では「絶対間違えない! 専門学校選びの8つのポイント」と題して、専門学校への進学を希望するあなたにぴったりの専門学校を探すお手伝いをしたいと思います。少し長くなりますが、あなたの将来のために、じっくり、ゆっくり、自分にあった学校を探すことにしましょう。
▼「やりたいこと」から「やれること」へ 自分が将来どこで、どういう仕事をしているかを想像してみてください。職場で働いている自分の姿がはっきりと浮かんできましたか? たとえば、建築事務所でマウス片手に家のデザインをしている自分とか、会議室で新しいゲームソフトの企画を他のスタッフと一緒にアイディアを出し合っている自分とか……。ぱっと考えてイメージが浮かんだ人は自分の将来像がしっかりと描かれているのだと思いますが、浮かんでこなかった人は、自分が本当にやりたいことが分かっていないのかもしれません。どこの専門学校に進学するにも、まずは、自分が本当にやりたいことを知っていなくては始まりません。
しかし、専門学校に入学するためには、単に自分の「やりたいこと」を知るだけではダメです。自分の「やれる」ことも知ることが大切です。そして、「やりたいこと」が「やれること」になったときに、初めて就職というゴール(そして、社会人としてのスタート)が見えてくるのです。
あなたがやれることは何ですか? あなたが持っている可能性は何ですか? 24時間365日、生まれたときからずっと一緒に過ごしてきたあなたの心と体ですが、あなたは「あなた」のことをどれだけ知っているのでしょうか。まずは、それを知ることから始めてみましょう。
まず、一枚の紙と鉛筆を用意してください。紙を半分に折り、紙の右側に好きなことや得意なことなどプラスなことやポジティブな要素を書いてみましょう。反対に、左側には嫌いなことや不得意なことなど、マイナスやネガティブな要素を思うままに書いてみてください。下にいくつかキーワードをあげてみました。
・自分はどんな人間? (独りでいるのが好き、友達と話すのが好き、子供が好き、料理が好き、運動は得意じゃない……など)
・何が得意? 不得意? (数学、美術、英語、コンピュータ……など)
・何をやりたい?
・自分は何を人にしてあげられるか?
書き終わったら、今自分がそれを書いたことは忘れて、その紙をちょっと離して眺めてみます。すると、そこに書かれている単語や文章から、一人の人物が浮かんでくると思います。もし、その彼(彼女)があなたの友達だとして、彼にはどんな職業が似合っているでしょうか? 彼と心の中で会話をしてみます。これを繰り返していくうちに、自分がどういう人間なのか、何に向いているのかを知ることができるでしょう。すると、それまではもやもやとしかイメージできなかった10年後の自分が、はっきりと浮かんでくると思います。そうすれば、自然と何を勉強したらいいかも分かるはずです。後は簡単。それをもとに、あなたに合う学校を探せばいいだけです。
これをやっている時に、ネガティブな結果が出てしまって、「どうしてオレはこんなにダメな人間なんだろう」と落ち込んでしまうかもしれませんが、それもあなたの一つの側面なのです。ダメならばダメなところを克服すればいいだけのことです。もし、それがだめなら、良いところを伸ばして、ダメなところを覆い隠してしまいましょう。たった一つでも光ったものがあれば、社会ではそれは大きな武器になります。これはそれを探すための自分探しでもあるのです。
▼専門学校は楽な道か?
専門学校に進学する人の中には、「勉強は嫌いだけれど、まだ学生でいたいから」という理由で、大学ではなくて専門学校を選ぶという人がたまにいます。確かに、専門学校の入学試験は、大学に比べて簡単なことが多いです。しかし、入学試験が簡単だからといって、入学してからの勉強までも楽になると言うわけではありません。むしろ専門学校の勉強の方が大変だと思います。それは、企業は専門学校の卒業生に「即戦力」としての能力を期待しているからです。即戦力とはつまり、企業に就職したらすぐに、社会で実際に働いている人と同じレベルの仕事をこなす力のことです。専門学校の修業期間は一般に2〜3年と、大学のそれに比べて短く、その短い間に実社会で即戦力として活躍できるほどの知識と技術を修得しなくてはなりません。また、専門学校では中学や高校の授業のようにイスに座って先生の話を聞くというスタイルの勉強は少なくなりますが、その代わり実習が増えます。実習というと中学校の調理実習のような楽しそうなものを想像するかもしれませんが、専門学校の実習は、実際に社会でプロフェッショナルとして働くための実習です。より専門性が高く複雑になり、実習の結果の質も実社会で通用するレベルのものが要求されます。これだけみても専門学校の授業がそう甘いものではないということが理解できたと思います。専門学校も大学も勉強の仕方は違いますが、その厳しさに違いはありません。ましてや、勉強から逃げるために、専門学校を選ぶなんて問答無用!
▼専門学校は近道か?
専門学校を進学先として選ぶ人は、希望する職種への就職に、専門学校と大学とどちらへの進学が近道(有利)かということを考える必要があります。たとえば、あなたが医者になりたいと思った場合、大学の医学部で勉強するよりほかはありません。また、ビジネス系で総合職と言われるポジションに就職を希望する場合、企業は専門学校生よりも大学生を採用する傾向があります。さらに、専門学校卒と大学卒の新入社員の場合、入社後しばらくは給与や待遇面で区別されることもあります。
一方、工業やコンピュータープログラミング、調理、美術デザインなどの専門的な技術を伴った分野は専門学校の得意分野です。事実、就職氷河期と呼ばれ、多くの企業が新卒者の採用を手控えている最近の状況でも、専門学校生の就職率はおよそ80パーセントを維持しています。企業のリストラ(※1参照)で特殊な技術や能力のない人は整理解雇(いわゆるクビ)されやすいですけれども、技術を必要とする人材だけはそう簡単に減らすことができません。それに、技術を必要とする職種は需要が高いため、専門学校生の就職率が高くなるわけです。このように専門学校が得意とする職種や、逆に不得意な職種があることをあらかじめ知っておく必要があります。
大学に行く、短大に行く、専門学校に行く……。最終的にどの学校に進学するのかは、あなた自身の判断にお任せしますが、ただなんとなくという理由で大学に行くのはもったいないですし、勉強が嫌いだから専門学校に行くというのも感心しません。しかし、何をしたいのかということをしっかりと考えれば、自然とどの道に進めば良いか見えてくるはずです。自分の好きなこと勉強することができれば、苦痛だった勉強もきっと楽しくなるでしょう。
<専門学校生に必要なキーワード>
※1 リストラ: リストラクチュアリングの略。もともとは、企業が落ち込んだ収益の回復のために、不採算の事業を切り捨てたり、事業の転換を図ったりする「企業の再構築」を意味していたが、近年では単に人件費削減を目的とした「整理解雇」の意味で使われることも多い。
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