▼職業の数だけ学科もある
世の中にはよく分からないことがたくさんあるけれど、専門学校の学科名ほどよく分からないものはない! なんて言うと誰かに怒られそうなのですが、専門学校の学科名の種類は、大学や短大と比べても本当に多く、ざっと数えても1000科以上もあります。その上、毎年のように新しい学科ができたり、なくなったり……。こうやって書いている私にもナニガナンダカワカリマセン。
どうしてこんなにいろいろな学科があるのでしょうか。その複雑さの理由は、専門学校が「即戦力を育成する学校」というところにあります。世の中をざっと眺め回してみると、実にたくさんの職業に就いている人がいることに気がつきます。デザイナー、事務員、自動車整備士、看護師、公務員などなど。さらに、こういった職業はより専門的なものへと細分化されていきます。たとえば、デザイナーであれば、建築デザイナーやインテリアデザイナー、服飾デザイナーという具合に分類化され、さらに服飾デザイナーは和服デザイナーや洋服デザイナーへと、洋服デザイナーはカジュアルファッションデザイナーやブライダルファッションデザイナーへと細分化されていきます。
また、消費者のニーズや時代の変化に合わせて、企業は次から次へと新しいビジネスを生み出します。そして、それに対応するように、専門学校はカリキュラムを変化させていきます。ですから、職業の数だけ学科があり、その分だけ学科名があるというのも、当然というわけです。
▼学科名で中身を判断しちゃダメ!
じゃあ、学科名が授業の内容を示しているなら選びやすいや! と考えるのは間違い。学科名はただの看板であって、それがカリキュラムの中身を表しているとは言えません。もちろん、「コンピュータープログラミング科」で調理師免許の勉強はしないでしょうし、看護師の勉強もしないでしょう。でも、「何の」のためのプログラミングを勉強するかは、この名前からでは分かりません。
一口にコンピュータープログラミングといっても、ワープロや表計算ソフトのようなビジネスアプリケーションかもしれませんし、ウィンドウズのようなOSかもしれません。もしかしたら、ゲームかもしれません。それにゲームといっても、2Dタイプのものかもしれないし、ポリゴンを使った3Dのゲームかもしれない……。プログラミングの言語は分野によって違いますし、手法も違ってきます。ですから、「コンピュータープログラミング科」という名前から判断できるのは、あくまでも「コンピューターのプログラミングに関することを勉強する学科」ということだけです。
中には名前からは想像がつかない学科名もあります。たとえば、「クリエイティブビジネス科」なんていうのもありますけれど、何を勉強するか見当がつきますか? 「クリエイティブ」だから「創造」で、「創造ビジネス科?」。分かることといえば、看護婦とはあんまり関係ないかな? ということぐらいです。このほかにも、専門学校にはカタカナの学科名がたくさんあり、混乱の原因になっています。
大切なのは、学科を選ぶということではなく、「その学科で勉強できること」を選ぶことです。同じ「CG(コンピューターグラフィックス)科」でも、その学校は3Dに強いのか、2Dに強いのか? そこを調べることが大切です。たとえば、もしあなたがFFのようなゲーム向けのポリゴンばりばりの3DCGについて勉強したいと思ったときに、イラスト向けの2DCGの勉強をしたら遠回りになるかもしれません。パンフレットなどをよく読み、そこで何を勉強できるのかをしっかりと把握しておきましょう。疑問があれば、学校に直接尋ねましょう。
また、自分が入学するときの学科構成がどうなっているかは入学前にしっかり確かめた方がいいでしょう。それは、ハイテク系などの分野では、毎年のようにカリキュラムが変わるのが当然だからです。
▼「3DCG科」と「CG科3Dコース」の違いは?
「○○科」と「××科○○コース」の違いは、願書を出すときに関係してきます。出願するときには、自分がどの「○○科」に行きたいのかを明記します。そして、入学した後に、コースを選択するというのが一般的な形です。ただし、入学するときにコースを選択することができる学校もあります。
募集するときには単に「○○科」となっていても、入学後に様々なコースやクラスに割り振られるということがありますから、科の中のカリキュラムがどうなっているかを、入学する前に調べておく必要があります。コース分けテストのようなものの結果、自分の希望しないコースに進むことになってしまったら、悲劇です。そういうことも考えて学校を選ばなくてはいけません。
▼どんな資格がとれるのか? スケジュールをチェック!
カリキュラムをチェックするときに注意しなくてはならないのは、資格を取るためのカリキュラムがしっかりと組まれているかということです。いくら、就職面接のときに「私は技術を持っています!」と胸を張ったとしても、証拠がなくては説得力に欠けます。資格はその人の信用になりますから、なるべくはっきりと役に立つ資格を取れるカリキュラムを組んでいる学校を選ぶようにしましょう。
資格と言ってもいろいろと種類があります。専門学校で勉強できる資格は次の三つに分けられます。一つ目は、専門学校を卒業すれば資格がもらえるもの。二つ目は、専門学校で一定の単位を取得し卒業し、企業などで一定期間の実務経験を積んだ後で取得できるもの。そして三つ目が、専門学校に行かなくても受験できる資格。このように、専門学校を卒業しただけでは取得できない資格があります。たとえば、国家資格の場合は規定の試験に合格しなくてはいけません。ですから、資格合格のために効率的な勉強ができるようなところに行くようにしましょう。学生の合格率などは、その学校のカリキュラムの善し悪しを計る参考になるはずです。パンフレットなどに掲載されているでしょうから、ぜひ参考にしてみて下さい。もちろん、資格取得は本人の努力によるところが多いのですけれども……。
ついでにいえば、取得する資格は、実際に役に立つ資格を取るようにしてください。資格や検定の中には、企業でまったく見向きもされないようなものもあります。事前に、業界におけるその資格の価値などをチェックした方がいいでしょう。そうでないと、お金も時間ももったいないですからね。
最後にもう一度いいますけれど、学校を選ぶということは、カリキュラムを選ぶということです。自分がなりたい職業に必要な知識はどれなのか、そのために必要な勉強は何か? ということをまず最初に考えてみましょう。自分に必要なカリキュラムを選べば、自然と学校も決まってくるはずです。
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